有料老人ホームに入居されている高齢者の行動や心理には大きな個人差がありますが、姿勢の変形や内臓の機能の変化など、自覚されないことも多いのです。まだまだ若い、今までやってきたことなどは十分できる、一生現役でいたい、というような強い想いが心の情熱をかき立てることもあります。普段通りの生活を営んでいくには、有料老人ホームのサポートはもちろんですが、新しい事態への学習とこれまでの習慣についての記憶の力があるのです。


高齢者の記憶力には個人差がありますが、記憶力の良い人は加齢しても良い傾向があるのです。また絵や図などの手がかりがあるときは記憶力の低下はそんなにみられないともいわれます。記憶は知的な活動と結びついているのですが、一度記憶したものが失われたり、歪められて記憶することもあります。記憶の歪みは、憎しみやさまざまな体験などの情緒的な側面に影響されて起こります。高齢者が新しい知識を理解し覚えたり、文字を読んだり書いたり、何かを創り出したりする生活、など知的な生活では、多くの場合考えることが億劫になったり、覚えたことでもすぐに忘れやすくなります。また加齢とともに速く多くの情報や事柄を処理する能力が低下していくなどと考えられていました。しかし最近では、知的な生活の衰えには大きな個人差があり、さらに同じ個人の中でも能力の種類による違いがみられることが明らかになっています。


そのため有料老人ホームでは、レクリエーションなどを通じて、高齢者の知的な生活の促進を働きかけるサポートをしているのです。健康な高齢者においては、知的な生活は中年期と同じように十分であることも多いのですが、心身が病んでいる方の場合は、物忘れが急激に激しくなったり、生活の実際的な対応が困難になったりすることもあります。そのため有料老人ホームでは、スタッフが高齢者のニーズや小さな変化にいち早く気付けるように、知識の習得や意識の徹底が必要となるのです。また知的な生活を左右しやすいのは健康状態が大きく関わってきます。なんらかの原因で身体が不自由になった場合は、知的な生活に変化が起こります。人がどの程度の知的水準を獲得できるかに関しては、教育や社会的状況が重要な原因になるのですが、いったん獲得された知能がどのように維持されるか、もしくは低下するかには、健康状態や環境状態が大きな要因になります。そのため有料老人ホームは、高齢者が健やかに暮らせるための重要な施設である必要があります。